ひょうご就農支援センター

新規就農者等育成研修(実践研修)in農業大学校

研修生の声Voice of trainee

研修生No.004

農業には興味がありませんでした

農大での実践研修を経て、いちご農園として新たなスタート

いちご/農業大学校/実践研修/身崎賢芳/自動車業界から参入

「農業には興味がありませんでした」

そう話すのは、令和8年9月に農業大学校の実践研修を修了した身崎賢芳(50)さんです。
高校では農業機械科で学んだ身崎さんですが、卒業後は自動車業界へ進み、長年にわたり自動車関連の仕事に携わってきました。
そんな身崎さんが現在、新たにいちご農園の運営に挑戦しようとしています。
農業参入を決意したきっかけや、1年間の実践研修で学んだことについてお話を伺いました。

1 農業との出会いは思いがけない転機から

知り合いの自動車会社がいちご農園を開設

もともと私は、ものづくりが好きで長年自動車関係の仕事に携わってきました。
転機となったのは、自動車業界でつながりのあった「オートショップエンドウ」がいちご農園の開設を決めたことです。

その際、新たに設立する農業法人の取締役として参加し、いちご農園の管理をしてみないかという話をいただきました。
若い頃は農業には興味がありませんでしたが、実は40代頃から、テレビ番組を通じて農業や田舎暮らしに興味を持つようになっていました。そんなタイミングで今回の話をいただき、「一度挑戦してみよう」と決意しました。

研修ハウスの様子
就農後は妻(左)と一緒に農園を経営
研修で育てたいちご
2 農大で学んだ「自ら考える力」

就農への最短ルートだった1年間

いざ農業を始めようと思っても、当初は分からないことばかりでした。そんな中、知人の紹介で農業大学校の実践研修を知りました。今振り返ると、農大に出会わなければ農業を始めることはできなかったと思うほど、充実した経験でした。農大では、栽培管理だけでなく、収穫した農産物の販売まで一連の流れを経験し、自ら判断しながら作業をすることが出来ました。

研修中は困ったことがあればすぐに相談できる環境が整っていましたが、常に答えを教えてもらえるわけではなく、自分で考え、判断しなければならない場面も多くありました。そんなときは本やSNSを活用して自主的に学び、解決策を探しました。この経験があったからこそ、実際の就農に近い緊張感の中で学ぶことができたと思います。

「研修期間が1年間は長いのでは」と言われることもありますが、私にとっては決して長く感じませんでした。むしろ、就農に必要な知識や技術を身に付けるにはちょうど良い期間であり、最短ルートで進むことができたと感じています。

3 技術だけではない

人とのつながりが就農の支えになる

農業では、研修やSNSの情報だけでは学べないことも数多くあります。 私は実践研修を受ける前に、普及センターの紹介で、地域のいちご農家の下で約2か月間のインターンシップを経験しました。その際にお世話になった農家の方とは、交流が今でも続いており、分からないことがあれば何でも相談させてもらっています。

就農においては、技術や知識を身に付けることはもちろん重要ですが、それと同じくらい人とのつながりも大切です。先輩農家とのネットワークを築くこと、自ら学び続ける姿勢を持つこと、さらに普及センターなど外部の相談先を確保しておくことが、農業経営を進める上で大きな支えになると感じています。

地域の先進農家と栽培方法について情報交換
研修中のハウスが5月末に収穫を終えました。
4 農業の担い手は企業の中にもいる

「農業をやってみたい」という思いを形に

私自身の経験から、30代から40代の働き盛りの世代には、日々の仕事に取り組む中で「何か新しいことに挑戦したい」「違う分野にも関わってみたい」と感じる人が少なくないと思います。実際、そうした人たちの中には、農業への興味や憧れを持っている人も多いのではないでしょうか。

「農業をはじめる」というと、どうしても「脱サラ」をして起業するイメージがあります。ですが、実際の農業は多様化しており、異なる業種と連携しながら農業に関わる事例もあります。 私が所属している株式会社enは、オートショップエンドウが立ち上げた農業法人です。車両整備事業でどうしても発生してしまう待ち時間を、お客様に喜ばれるものにできないかといった思いから、いちごの収穫体験・販売をする新規事業を企画しました。

しかし、私含め社員は誰もいちご栽培の経験がなかったため、私が農業大学校で研修を受け、技術や知識を身に付けたうえで農業事業を担うことになりました。 オートショップエンドウは、自動車産業から農業に参入した「参入企業」という立場になります。企業の従業員が農業研修を受ける上での利点は、研修期間中も業務の一環になるため雇用先から給与が支払われることです。このため、生活資金の不安がなく研修に集中することができました。さらに、農繁期には農業以外の部門の従業員が作業に参加するなど、部門を超えて労力補完体制を作れることも企業参入の強みだと思います。

農業の担い手は、個人の農家だけではありません。企業の中にも、農業に挑戦する意欲や可能性を持った人材は多くいると思います。そうした人材が農業分野に関わることで、地域農業に新たな力が生まれるのではないでしょうか。

取材後記

身崎さんへの取材を通じて、農業大学校での1年間の研修が就農への大きな力になっていることを実感しました。農業大学校の実践研修では、栽培技術の習得だけでなく、販売や経営まで含めた実践的な学びを経験できることが大きな魅力です。新たに農業に取り組む法人の皆様には、農業従事者の研修受講をお勧めします。その経験が、安定した農業経営への確かな第一歩につながるのではないでしょうか。

新規就農(2026年9月14日取材時点)先輩DATA

兵庫県立農業大学校 実践研修(1年)コース 氏名:身崎 賢芳 年齢:50歳(令和8年9月時点) コース:2025年実践研修コース 就農地 多可町、施設いちごで2026年9月就農

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