ひょうご就農支援センター

新規就農者の声Voice of seniors

先輩No.018

人とのつながりを特に大切にしています。

取材日:令和7年10月
丹波市市島町で、自然農法で米作りに取り組む高垣 創さんを取材しました。

高垣創氏写真
「自身の生き方を見つめ直し、農業の道へ」

農業を志したきっかけは?

高垣氏:20代の頃、この世に受けた命をどう生きてくか探求していく中で、人間のルーツである土から離れ過ぎていると思い、土の近くで仕事をしようと漠然と農業を志しました。当時は縁のない、知らない世界でした。

農業を知るためにも、研修へ向かったのですね?

高垣氏:最初は本やネットで勉強しました。そんな中、自然農法について知り、にわかには信じられなかったんです。和歌山県で実践している農家を見つけて、連絡を取りました。野菜を中心に研修を受けました。

それでも水稲を選んだ理由は?

高垣氏:営農を続けることを考えると穀物でないと厳しいと考え、大豆、麦、米を念頭に置いていました。研修で米づくりがうまくいき、自分に合っていると思いました。

それが今の土台になっているのですね。

高垣氏:そうですね。親方農家の営農20年の中で一番よく取れたと言われました。休日にも除草に行ったり、丁寧に向き合いました。作業が好きでしたし、こんなに収穫できるんだという発見、喜びがありました。主食を生産することで暮らしへ貢献できるところも大きいですね。

珍しい品種の米(朝日)を生産しているのですね?

高垣氏:【コシヒカリ】の先祖にあたる品種で、味が良いんです。【朝日】にこだわる顧客がいて、需要もあります。晩生の品種で自然災害にあいにくく、比較的反収も多いです。研修後に種をもっている方に出会い、分けてもらったことがはじまりです。

水稲(朝日)
収穫した朝日米
「人とのつながりに導かれるように丹波の地へ」

丹波市市島町に来られたきっかけは何だったのでしょうか?

高垣氏:研修後、市島町で自然栽培をしている農家を共通の知り合いが紹介してくれたことがきっかけです。当時は大阪で生活しており、休日に丹波に通って農作業していました。イベントも開催していました。

イベントというと、田植え体験とか?

高垣氏:そうですね。地域の方との交流ができ、顧客の獲得にもつながりました。

人とのつながりを大切にしているのですね。

高垣氏:そういう感覚は人一倍鋭い自信があります。納品書にも手書きで1枚ずつメッセージを書きます。喜んでもらえることが多いですし、米作りよりも重視しているといっても過言ではないです(笑) 6~7年の付き合いの人もいて、幼稚園に通っていたお子さんが中学生になっている。自分の作った米を食べて育ってくれていると思うとやりがいを感じます。人とのつながりを大事にすることが基本だと思っているので、今後もぶれずにやっていきたいです。

丹波市市島町に来られたときは新型コロナが流行している時期でした。苦労があったのではないですか?

高垣氏:雇用主の農家も移住者であり、地域で信頼を築いておられる方でした。おかげでスムーズに就農や生活をスタートできました。思いだけで飛び込んできたので、こんな出会いがあることも期待していませんでした。この出会いがなかったらスタートできなかったと思います。

「おいしいと感謝される、その実感がモチベーションに」

農業をして、嬉しかったことはありますか?

高垣氏:飲食店紹介サイトで100名店に選ばれたお店でお米を使ってもらえており、誇りに思っています。取引のある日本料理店でもおいしいと言ってもらえますし、家族の友人にもおいしいと言ってもらえる。感謝される仕事ってなかなかあるようでないと思うので、そういう実感が得られることがモチベーションになっていますね。

「毎年異なる状況の中でも、継続できる体制づくりを」

今後どういった経営をお考えですか?

高垣氏:気候が毎年同じではないし、地域の人も高齢化で農作業ができなくなってくる。力をつけていかないとと思うが、できることも限られている。数人に手伝ってもらってもいますが、来てほしいときに来てくれる保障もありません。設備投資をして作業受託もしながら、継続できる体制づくりができればと考えています。

新規就農(令和7年10月取材時点)先輩DATA
高垣創氏写真

氏名:高垣 創 (たかがきはじめ) 住所:丹波市市島町 年齢:42歳 就農区分:Iターン

【就農から現在まで】 2016年 和歌山県橋本市で2年間、 野菜・水稲の研修を受ける 2019年 丹波市市島町の個人農家のもとで雇用就農 2021年 独立し、認定新規就農者となる 2025年 現在に至る

【農業経営の状況】 農地:300a(借地300a) 経営内容:水稲290a、加工用大豆10a 労働力:本人、雇用1名(臨時) 出荷先:個別販売、飲食店

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